賞与の源泉徴収税額を算出率の表で求める(令和8年分・12月賞与)
賞与の源泉徴収税額は、賞与の額ではなく「前月の給与」で率を探すのがいちばんの迷いどころです。算出率の表の見方、10倍を超える賞与と前月に給与がない場合の例外、計算例を、国税庁の令和8年分の表とタックスアンサーNo.2523で2026年10月17日に確認してまとめました。
公開:2026年10月17日 最終更新:2026年10月17日 執筆:板野 克基(株式会社ブライトアセット) 編集方針
要点
- 賞与の源泉徴収税額は、社会保険料を引いた後の賞与×算出率で求めます(1円未満切り捨て)。
- 率は「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」で探します。探すときに使うのは賞与の額ではなく、前月の給与から社会保険料を引いた額と扶養親族等の数です。
- 賞与(社会保険料控除後)が前月の給与(社会保険料控除後)の10倍を超えるとき、前月に給与がないときは、算出率の表を使わず月額表で計算します。
- 2026年12月に払う賞与は令和8年分の表を使います。2027年1月1日以後に払う賞与は、改正された令和9年分の表です。
算出率の表の見方
国税庁の算出率の表は、横に「扶養親族等の数(0人〜7人以上)」、縦に「前月の社会保険料等控除後の給与等の金額」の幅が並び、左端に「賞与の金額に乗ずべき率」が書かれています。表の備考とタックスアンサーNo.2523では、次の順に率を探すとされています。
- 前月中に払った給与(賞与を除く)から、その給与から引いた社会保険料等を引きます。
- 扶養控除等申告書を出している人は甲欄で、扶養親族等の数の列から、1の金額が入る行を探します。
- その行の左端の率が「賞与の金額に乗ずべき率」です。
- 賞与の額から、その賞与から引く社会保険料等を引き、3の率をかけます。1円未満は切り捨てます。
扶養控除等申告書を出していない人(2か所目の勤務先など)は、扶養の数に関係なく右端の乙欄を使います。
令和8年分の表の一部(甲欄・扶養0人)
| 前月の給与(社会保険料控除後) | 賞与にかける率 |
|---|---|
| 82千円未満 | 0% |
| 82千円以上94千円未満 | 2.042% |
| 94千円以上260千円未満 | 4.084% |
| 260千円以上309千円未満 | 6.126% |
| 309千円以上342千円未満 | 8.168% |
| 342千円以上372千円未満 | 10.21% |
扶養が1人増えるごとに、同じ率になる給与の幅が上にずれます。たとえば4.084%は、扶養0人なら94千円以上260千円未満、扶養2人なら276千円以上321千円未満です。
令和8年分の表の一部(乙欄)
| 前月の給与(社会保険料控除後) | 賞与にかける率 |
|---|---|
| 224千円未満 | 10.21% |
| 224千円以上295千円未満 | 20.42% |
| 295千円以上527千円未満 | 30.63% |
| 527千円以上1,118千円未満 | 38.798% |
| 1,118千円以上 | 45.945% |
「前月の給与」とは
- 賞与を払う月の前の月に払った給与(賞与を除く)です。何月分の給与かではなく、前月中に支払った給与で見ます。
- その給与から引いた健康保険・厚生年金・雇用保険などの社会保険料等を引いた額で表に当てはめます。
- 給与の支給が2か月ごとなど「月の整数倍」の期間ごとの人は、賞与の直前に払った給与と社会保険料等をその倍数で割った額を、前月の給与とみなします(算出率の表の備考5)。
- 前月の給与が社会保険料等以下の場合は、前月に給与がない場合と同じく、月額表で計算します(備考4)。
計算例1:ふつうの賞与
賞与の支給総額500,000円、賞与から引く社会保険料等75,000円(仮の数字)、前月の給与300,000円・その社会保険料等45,000円、扶養親族等2人(甲欄)の場合です。
| 手順 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 1. 前月の給与(控除後) | 300,000-45,000 | 255,000円 |
| 2. 率を探す | 扶養2人の列で255千円が入る行(143千円以上276千円未満) | 2.042% |
| 3. 賞与(控除後) | 500,000-75,000 | 425,000円 |
| 4. 源泉徴収税額 | 425,000×2.042%=8,678.5→切り捨て | 8,678円 |
同じ人が扶養0人なら、255千円は94千円以上260千円未満の行なので率は4.084%、税額は425,000×4.084%=17,357円です。425,000円は前月の給与255,000円の10倍以下なので、算出率の表で計算できます。
例外1:前月の給与の10倍を超える賞与
賞与(社会保険料控除後)が前月の給与(社会保険料控除後)の10倍を超えるときは、算出率の表は使いません。タックスアンサーNo.2523の手順は次のとおりです。
- 賞与(控除後)を6で割ります。賞与の計算期間が6か月を超えるときは12で割ります。
- 1に前月の給与(控除後)を足します。
- 2の金額を月額表の甲欄(扶養控除等申告書を出していない人は乙欄)に当てはめて税額を出します。
- 3から、前月の給与(控除後)に対する月額表の税額を引きます。
- 4に6(12で割ったときは12)をかけます。
計算例2:10倍超
前月の給与(控除後)100,000円、扶養0人、賞与(控除後)1,200,000円、計算期間6か月の場合です。1,200,000円は100,000円の10倍(1,000,000円)を超えます。
| 手順 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 1. 6で割る | 1,200,000÷6 | 200,000円 |
| 2. 前月の給与を足す | 200,000+100,000 | 300,000円 |
| 3. 月額表(甲欄・扶養0人) | 299,000円以上302,000円未満の行 | 7,930円 |
| 4. 前月の給与の税額 | 105,000円未満の行 | 0円 |
| 5. 6倍する | (7,930-0)×6 | 47,580円 |
この人に算出率の表をそのまま当てはめると、前月の給与100千円の率4.084%で49,008円になり、正しい額とずれます。10倍を超えるかは、率を探す前に確かめます。
賞与を払った月の納付書の欄を確かめる所得税徴収高計算書の集計(無料・登録不要)→例外2:前月に給与がない
前月に給与を払っていない(入社直後など)ときも、算出率の表は使いません。賞与(控除後)を6(計算期間が6か月超なら12)で割り、月額表の甲欄に当てはめた税額を6倍(または12倍)します。
計算例3:前月の給与なし
| 手順 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 1. 6で割る | 900,000÷6 | 150,000円 |
| 2. 月額表(甲欄・扶養0人) | 149,000円以上151,000円未満の行 | 2,420円 |
| 3. 6倍する | 2,420×6 | 14,520円 |
賞与(控除後)900,000円、扶養0人、計算期間6か月の場合です。乙欄の人が前月に給与がない場合や10倍を超える場合も、算出率の表ではなく月額表を使って計算します(算出率の表の備考4)。乙欄の金額は、国税庁の月額表で確かめてください。
国税庁のタックスアンサーNo.2523にある例(前月の給与166,531円・賞与1,668,062円・扶養1人で87,540円、前月の給与なし・賞与769,300円・扶養0人で7,800円)も、令和8年分の月額表で同じ手順で計算すると一致します。
12月賞与で気をつけること
- 使う表の年分:2026年12月に払う賞与は令和8年分の算出率の表です。支給日が2027年1月1日以後になる賞与は、令和9年分の表を使います(令和9年分は率の境目が変わっています)。
- 年末調整:12月の賞与も、その年の給与の総額に含めて年末調整をします。過不足の出し方は年末調整の過不足額の求め方で説明しています。
- 納める期限:12月に源泉徴収した税額は、原則として翌月10日までに納めます。令和9年1月10日は日曜日、11日は成人の日なので、令和9年1月12日(火)です。納期の特例の承認を受けていれば、7月から12月分を令和9年1月20日(水)までに納めます。
よくあるつまずき
- 支給総額に率をかける:率をかけるのは、賞与から社会保険料等を引いた後の額です。
- 賞与の額で行を探す:行を探すのは前月の給与(控除後)です。賞与の額で探すと率が変わります。
- 10倍チェックを忘れる:前月の給与が少ない人(入社直後・休職明けなど)ほど、10倍を超えやすくなります。
- 前月の給与に前月の賞与を入れる:前月の給与には賞与を含めません。
- 扶養の数を数え間違える:16歳未満の子は、障害者に当たる場合の加算を除き数えません。扶養控除等申告書の記載で数えます。
まとめ
賞与の源泉徴収税額は、前月の給与(控除後)と扶養の数で算出率の表から率を探し、賞与(控除後)にかけて求めます。10倍を超える賞与と前月に給与がない場合だけは、月額表を使う別の計算です。この記事は国税庁の資料にもとづく計算と書き方の説明です。税理士の監修は受けていません。個別の判断は、国税庁の資料や所轄の税務署、税理士に確認してください。
出典
- 国税庁 タックスアンサーNo.2523「賞与に対する源泉徴収」(2026年10月17日確認)
- 国税庁「令和8年分 賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」(15〜16ページ)(2026年10月17日確認)
- 国税庁「令和8年分 給与所得の源泉徴収税額表(月額表)」(2026年10月17日確認)
- 国税庁「令和9年分 源泉徴収税額表」(2026年10月17日確認)
- 国税庁 タックスアンサーNo.2505「源泉所得税及び復興特別所得税の納付期限と納期の特例」(2026年10月17日確認)
賞与(ボーナス)から差し引く所得税を計算。賞与額・社会保険料・前月給与・扶養人数を入れると、算出率の表(令和8年分・令和9年分に対応)から税額と手取りを出します。前月給与の10倍超や前月給与がない場合の例外計算にも対応。
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