年末調整の過不足額の求め方(令和8年分・2026年12月の年末調整)
年末調整の過不足額は、1年分の給与にかかる年税額と、毎月の給与から源泉徴収した税額の合計との差です。源泉徴収した額が多ければ本人に返し、少なければ本人から追加で徴収します。令和8年分は基礎控除の引上げなどの改正があります。国税庁の「令和8年分 年末調整のしかた」を2026年10月17日に確認してまとめました。
公開:2026年10月17日 最終更新:2026年10月17日 執筆:板野 克基(株式会社ブライトアセット) 編集方針
要点
- 過不足額=源泉徴収した税額の合計-年調年税額です。プラスなら超過額(本人に還付)、マイナスなら不足額(本人から徴収)です。
- 年調年税額は、給与所得控除後の金額から所得控除を引き(1,000円未満切り捨て)、速算表で税額を出し、住宅借入金等特別控除を引いてから102.1%をかけます(100円未満切り捨て)。
- 令和8年分は、基礎控除が最大104万円に、給与所得控除の最低保障額が65万円から74万円に引き上げられました。
- 令和8年11月までの毎月の源泉徴収は改正前のままです。12月の年末調整で、改正後の額で1年分の税額を計算し、改正前の税額表で源泉徴収した税額と精算します。
- 給与所得控除後の金額は、必ず令和8年分の「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」で求めます。
令和8年分で変わった点
令和8年度税制改正で、基礎控除の引上げ、給与所得控除の最低保障額の引上げ、扶養親族等の所得要件の改正が行われました。原則として令和8年12月1日に施行され、令和8年分以後の所得税に適用されます。
| 本人の合計所得金額 | 令和8年分の基礎控除額 |
|---|---|
| 489万円以下 | 104万円 |
| 489万円超 655万円以下 | 67万円 |
| 655万円超 2,350万円以下 | 62万円 |
| 2,350万円超 2,400万円以下 | 48万円 |
収入が給与だけの人の場合、合計所得金額489万円は給与の収入金額665万5,556円にあたります(改正のあらましの表の括弧書き)。基礎控除は令和8・9年分の額で、令和10年分以後は変わります。
- 給与所得控除の最低保障額は74万円になりました。令和8年分は、給与の総額が741,000円未満なら給与所得控除後の金額は0円です。
- 扶養親族・同一生計配偶者の所得要件は、合計所得金額62万円以下(給与だけなら収入136万円以下)になりました(改正前58万円以下)。
- 改正後の源泉徴収税額表は、令和9年1月1日以後に支払う給与から使います。
過不足額の求め方(手順)
- 給与と徴収税額を集計する:その年に支払の確定した給与・賞与の総額と、そこから源泉徴収した税額の合計を出します。未払でも本年中に支給日が来た給与は含めます。年の中途で就職した人は、前の勤務先の源泉徴収票の金額も含めます。
- 給与所得控除後の金額を求める:給与の総額を令和8年分の「給与所得控除後の給与等の金額の表」に当てはめます。660万円以上は表に示された算式で計算し、1円未満を切り捨てます。所得金額調整控除がある人はその額を引きます。
- 所得控除の合計を出す:社会保険料等、生命保険料、地震保険料、配偶者(特別)控除、特定親族特別控除、扶養控除・障害者等の控除、基礎控除を合計します。
- 課税給与所得金額=給与所得控除後の金額-所得控除の合計。1,000円未満を切り捨てます。
- 算出所得税額:「令和8年分の年末調整のための算出所得税額の速算表」で計算します(例:195万円以下は5%、195万円超330万円以下は10%-97,500円)。
- 年調年税額:算出所得税額から住宅借入金等特別控除額を引き(引ききれないときは0円)、102.1%をかけて100円未満を切り捨てます。
- 過不足額:源泉徴収した税額の合計と年調年税額を比べます。源泉徴収した額が多ければ超過額、少なければ不足額です。
計算例
給与の総額400万円、本人が給与から差し引かれた社会保険料60万円、扶養親族なし、生命保険料控除などなし、1年間に源泉徴収した税額の合計が8万円(仮の数字)の場合です。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 給与の総額 | 4,000,000円 |
| 給与所得控除後の金額(令和8年分の表:400万円以上400万4千円未満) | 2,760,000円 |
| 社会保険料控除 | 600,000円 |
| 基礎控除(合計所得金額276万円は489万円以下) | 1,040,000円 |
| 所得控除の合計 | 1,640,000円 |
| 課税給与所得金額(2,760,000-1,640,000) | 1,120,000円 |
| 算出所得税額(1,120,000×5%) | 56,000円 |
| 年調年税額(56,000×102.1%=57,176円→100円未満切り捨て) | 57,100円 |
| 源泉徴収した税額の合計(仮) | 80,000円 |
| 過不足額(80,000-57,100)=超過額・本人に還付 | 22,900円 |
源泉徴収した税額の合計は、実際には毎月の給与明細の所得税を足して出します。
源泉徴収票の4つの金額欄の意味を確かめる年末調整 過不足額の計算(無料・登録不要)→還付と徴収のしかた
- 超過額(還付):年末調整をした月分(通常は12月分)として納める源泉所得税から差し引いて、本人に返します。その月だけで返しきれないときは、その後に納める分から順に差し引きます。
- 廃業などで納める税額がない、または2か月たっても返しきれないと見込まれるときは、「年末調整過納額還付請求書 兼 残存過納額明細書」を税務署に出し、税務署から還付を受けます。
- 不足額(徴収):年末調整をする月分の給与から徴収し、残ればその後の給与から徴収します。徴収すると手取りが1月から前月までの平均の70%未満になる人は、「年末調整による不足額徴収繰延承認申請書」を出して承認を受ければ、翌年1月と2月に分けて徴収できます。
- 精算した金額は、その月分の所得税徴収高計算書(納付書)の「年末調整による超過税額」「年末調整による不足税額」欄に書きます。欄ごとの集計は源泉所得税の納付書(所得税徴収高計算書)の集計で確かめられます。納める税額が0円になっても、計算書は税務署に出します。
年末調整のあとの期限(令和8年分)
| 手続 | 期限 |
|---|---|
| 年末調整をした月分の源泉所得税の納付 | 令和9年1月12日(火) |
| 同上(納期の特例の承認を受けている場合) | 令和9年1月20日(水) |
| 給与所得の源泉徴収票の本人への交付 | 令和9年2月1日(月) |
| 法定調書と合計表の税務署への提出、給与支払報告書の市区町村への提出 | 令和9年2月1日(月) |
| 年末調整のやり直し(扶養親族の異動、保険料の支払など) | 源泉徴収票を交付する翌年1月末日まで |
源泉徴収票の交付と法定調書の提出は、法令上は翌年1月31日までです。令和9年1月31日は日曜日のため、国税庁の手引では令和9年2月1日(月)と案内されています。令和9年1月1日以後は、給与支払報告書を市区町村に出せば、税務署への給与所得の源泉徴収票の提出は不要になります(みなし提出の特例)。本人への交付は引き続き必要です。
よくあるつまずき
- 去年の表を使う:令和8年分の給与所得控除後の金額の表は、令和7年分から改正されています。基礎控除も令和7年分の額とは違います。
- 11月までの天引きとずれる:毎月の源泉徴収は改正前の税額表で計算されています。改正後の年税額との差も、12月の年末調整で精算されます。
- 前の勤務先の分を入れ忘れる:年の中途で就職した人は、前職の源泉徴収票で給与と税額を確認してから年末調整をします。確認できるまでは見合わせます。
- 102.1%と端数:課税給与所得金額は1,000円未満、年調年税額は100円未満を切り捨てます。
- 年末調整の対象外の人:給与の収入金額が2,000万円を超える人、扶養控除等申告書を出していない人(乙欄)などは年末調整をしません。本人が確定申告をします。
- 11月30日以前に最後の給与を払った人:死亡による退職や海外転勤で非居住者になった人などで、令和8年分の最後の給与を11月30日以前に支払って年末調整をした場合、改正後の基礎控除などは適用されません。適用を受けるには確定申告等が必要です。
まとめ
年末調整の過不足額は、年調年税額と源泉徴収した税額の合計の差です。令和8年分は基礎控除(合計所得金額489万円以下なら104万円)と給与所得控除の最低額(74万円)が変わったので、令和8年分の表で計算します。この記事は計算のしかたの説明です。個別の判断は、国税庁の資料や税務署、税理士に確認してください。
出典:国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」、国税庁「源泉所得税の改正のあらまし(令和8年4月)」、国税庁「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等に関するQ&A」(令和8年5月)、国税庁タックスアンサーNo.2662「年末調整のしかた」、国税庁「令和8年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」(いずれも2026年10月17日確認)。
1年分の給与総額・源泉徴収した税額・各種控除を入れると、年調年税額と過不足額(本人に返す超過額か追加で引く不足額か)を出します。年末調整を自分でする小規模事業者・経理担当の手計算の確認に。控除額は目安です。
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