源泉徴収10.21%の計算方法(100万円超・手取りからの逆算)
原稿料・講演料などの報酬から差し引く源泉徴収税額は、国税庁の2本の式で計算できます。100万円を超える場合と、手取り額から逆算する場合の式も、計算例つきで説明します。
公開:2026年10月15日 最終更新:2026年10月15日 執筆:板野 克基(株式会社ブライトアセット) 編集方針
要点:源泉徴収10.21%の計算は2本の式で決まる
- 支払金額が100万円以下なら 支払金額 × 10.21%。
- 100万円を超えるなら (支払金額 − 100万円)× 20.42% + 102,100円。全体に20.42%をかけるのではありません。
- 求めた税額の1円未満は切り捨てます。
- 請求書等で報酬と消費税等が明確に区分されていれば、税抜の報酬額だけにかけて差し支えありません。
- 手取り額で契約したときは、国税庁が示す「手取額 ÷ 0.8979」などの式で報酬額を逆算します。
100万円超:(A − 1,000,000円)× 20.42% + 102,100円
A=支払金額(源泉徴収の対象となる金額)。1円未満切り捨て
10.21%の内訳と、令和9年からの変更点
10.21%は、所得税率10%に102.1%を掛けた「合計税率」です。源泉徴収では、所得税と一緒に、所得税額の2.1%に当たる特別所得税をあわせて徴収するため、10% × 102.1% = 10.21%になります。100万円を超える部分の20.42%も、20% × 102.1%です。
令和8年度の税制改正で、令和9年1月1日以後に生じる所得からは、この2.1%が「防衛特別所得税1%+復興特別所得税1.1%」に分かれます。復興特別所得税の課税期間は、令和19年12月31日までから令和29年12月31日までに延長されました。国税庁のパンフレットは、改正の前後で合計税率(2.1%)に変更はないので、源泉徴収税額の計算方法に変更は生じないとしています。つまり、令和9年以後も報酬の源泉徴収は10.21%(100万円超の部分は20.42%)で計算します。
源泉徴収10.21%の計算例
100万円以下の報酬は、支払金額に10.21%をかけて1円未満を切り捨てるだけです。以下は、請求書で消費税を区分して書いている場合の例です。
| 例:報酬(税抜) | 源泉徴収税額 | 消費税10% | 振込額 |
|---|---|---|---|
| 50,000円 | 5,105円 | 5,000円 | 49,895円 |
| 100,000円 | 10,210円 | 10,000円 | 99,790円 |
| 300,000円 | 30,630円 | 30,000円 | 299,370円 |
| 1,000,000円 | 102,100円 | 100,000円 | 997,900円 |
振込額は「報酬 + 消費税 − 源泉徴収税額」です。国税庁のパンフレットにある例では、888,888円 × 10.21% = 90,755.4648円なので、1円未満を切り捨てて90,755円になります。
100万円を超えるときの計算(20.42%)
100万円を超える場合は、100万円までの部分に10.21%、超えた部分に20.42%がかかります。100万円 × 10.21% = 102,100円なので、式の「+102,100円」はこの100万円までの部分の税額です。
例:報酬1,200,000円なら、(1,200,000 − 1,000,000)× 20.42% + 102,100 = 40,840 + 102,100 = 142,940円です。国税庁の具体例では、150万円の原稿料で(150万円 − 100万円)× 20.42% + 102,100円 = 204,200円としています。
よくある間違いは、150万円 × 20.42% = 306,300円のように、支払金額全体に20.42%をかけてしまうことです。正しい額より102,100円多く差し引くことになります。
消費税を含めて計算する?税抜で計算する?
報酬の額に消費税等が含まれている場合、原則は消費税等を含めた金額が源泉徴収の対象です。ただし、請求書等で報酬の額と消費税等の額が明確に区分されていれば、報酬の額だけを対象にして差し支えないとされています。インボイス制度が始まった後も、この取扱いは変わっていません。
例:報酬1,000,000円・消費税100,000円の場合、区分して書かれていれば源泉徴収税額は102,100円です。区分されていなければ対象は1,100,000円となり、(1,100,000 − 1,000,000)× 20.42% + 102,100 = 122,520円です。税込にすると100万円を超えて20.42%の部分が出てくるため、差が大きくなります。
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「振込額を○円にしてほしい」と手取り額で約束した場合の計算方法は、国税庁のタックスアンサーに示されています(消費税を考えない場合の式です)。
手取額が897,900円を超える場合:(手取額 − 102,100)÷ 0.7958 = 支払金額(0.7958 = 1 − 20% × 102.1%)
例:手取り100,000円なら、100,000 ÷ 0.8979 = 111,370円が支払金額、源泉徴収税額は 111,370 × 10.21% = 11,370円(1円未満切り捨て)で、差し引くとちょうど100,000円です。手取り1,000,000円なら、(1,000,000 − 102,100)÷ 0.7958 で約1,128,298円です。割り算の結果は1円未満が出るので、求めた支払金額で源泉徴収税額を計算し直し、手取りが合うかを確かめてください。
請求書で消費税を区分している場合は、振込額に消費税も入るので式が変わります。100万円以下なら「振込額 = 報酬 × 1.1 − 報酬 × 10.21% = 報酬 × 0.9979」です。例:振込額100,000円にしたいなら、報酬(税抜)はおよそ100,210円で、消費税10,021円・源泉徴収税額10,231円を差し引きして振込額100,000円になります。
源泉徴収が必要な報酬・必要ないケース
国税庁のNo.2792では、個人(居住者)に支払う報酬のうち、原稿料や講演料、弁護士・公認会計士・司法書士等の特定の資格を持つ人への報酬、モデルや外交員などへの報酬、芸能の出演料などを源泉徴収の対象として挙げています。謝礼・取材費・車代などの名目でも、実態が報酬と同じなら対象です。
- 計算式が違うもの:司法書士・土地家屋調査士・海事代理士への報酬は、1回に支払う金額から1万円を差し引いた残りに10.21%をかけます(例:5万円なら(5万円 − 1万円)× 10.21% = 4,084円)。
- 少額で不要になるもの:懸賞応募作品の入選者への賞金や投稿の謝金は、1人に1回50,000円以下なら源泉徴収をしなくてよいとされています。
- 支払う側が個人の場合:給与について源泉徴収義務のない個人が支払う報酬・料金は、源泉徴収をする必要がありません。たとえば会社員が確定申告のために税理士に報酬を払う場合です。
- 給与は別の計算:従業員やアルバイトの給与は、国税庁の源泉徴収税額表で求めます。
差し引いた税金の納付期限
原稿料や講演料などから源泉徴収した税額は、支払った月の翌月10日までに、e-Taxで所得税徴収高計算書データを送信して納付するか、所得税徴収高計算書(納付書)を添えて金融機関や税務署の窓口で納付します。原稿料等は納期の特例の対象になりません。
まとめ
源泉徴収10.21%の計算は、100万円以下なら支払金額 × 10.21%、超えるなら(支払金額 − 100万円)× 20.42% + 102,100円で、1円未満は切り捨てです。消費税を区分した請求書なら税抜額にかけられ、手取り額からの逆算も式で求められます。
報酬額や手取り額を入れるだけの計算は源泉徴収の計算ツールでできます。消費税を区分した請求書はインボイス対応の請求書作成ツールで、価格表の税込・税抜の変換は税込・税抜の一括計算ツールで作れます。
出典・確認日
- 国税庁 No.2795 原稿料や講演料等を支払ったとき(2026年10月15日確認)
- 国税庁 No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは(2026年10月15日確認)
- 国税庁 No.2792 Q&A 手取契約の場合の源泉徴収税額の計算方法(2026年10月15日確認)
- 国税庁 No.2801 司法書士等に支払う報酬・料金(2026年10月15日確認)
- 国税庁 No.2502 源泉徴収義務者とは(2026年10月15日確認)
- 国税庁 防衛特別所得税及び復興特別所得税の源泉徴収のあらまし(令和9年1月以後の源泉徴収)(2026年10月15日確認)
原稿料・講演料などの報酬から差し引く源泉徴収税額を計算。100万円以下は10.21%、超える部分は20.42%。消費税を区分した場合の振込額や、手取りからの逆算もできます。
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