免税事業者の請求書の書き方(登録番号がない場合)
インボイスの登録をしていない免税事業者でも、請求書は出せます。ただし、登録番号に似た番号を書くと罰則の対象になり、書く項目が足りないと取引先が経過措置を使えません。書く項目、消費税の表示、取引先の控除の割合を、国税庁のインボイスQ&A(問26-2・問113)で確認してまとめました(2026年10月17日確認)。
公開:2026年10月17日 最終更新:2026年10月17日 執筆:板野 克基(株式会社ブライトアセット) 編集方針
要点
- 免税事業者は適格請求書(インボイス)を出せませんが、登録番号のない請求書や領収書は、これまでどおり出せます(国税庁 インボイスQ&A 問26-2)。
- T+13桁に似た英数字や、他人の登録番号を自分の「登録番号」として書くと、適格請求書と誤認されるおそれのある表示として禁止され、罰則(1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金)の対象です。
- 消費税相当額を書いても、適格請求書と誤認されるおそれのあるものでなければ、基本的に罰則の対象にはなりません。
- 取引先は、免税事業者の請求書では原則として仕入税額控除ができません。経過措置で一定割合を控除でき、2026年10月1日から2028年9月30日までは70%です。
- 取引先が経過措置を使うには、区分記載請求書と同じ事項が書かれた請求書が必要です。税率ごとに合計した税込の金額と、軽減税率の対象である旨を書いておきます。
請求書に書く項目
取引先が経過措置を使うために必要な請求書の記載事項(区分記載請求書等と同じ事項)は、国税庁のインボイスQ&A 問113で次の5つとされています。
| 記載事項 | 書き方の例 |
|---|---|
| ① 書類の作成者の氏名または名称 | 屋号と氏名(例:山田デザイン事務所 山田花子) |
| ② 取引の年月日 | 取引した日。月ごとにまとめて請求するなら「2026年10月分」 |
| ③ 取引の内容(軽減税率の対象なら、その旨) | 品名。食品など8%の品目に「※」を付け、「※は軽減税率対象」と書く |
| ④ 税率ごとに合計した税込の金額 | 「10%対象 22,000円」「8%対象 21,600円」のように分けて書く |
| ⑤ 書類を受け取る事業者の氏名または名称 | 取引先の会社名・屋号 |
登録番号の欄は作らないか、空けておきます。③の軽減税率の旨と④の税率ごとの合計が抜けている場合に限り、受け取った側が自分で追記して保存することも認められています(問113)。最初から書いておけば、取引先の手間が減ります。
書いてはいけないこと
問26-2では、適格請求書発行事業者以外の者が、適格請求書であると誤認されるおそれのある表示をした書類を交付することは禁止され、罰則(1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金)の対象になるとしています(消費税法第57条の5、第65条)。例として挙げられているのは、次のような書類です。
- 登録番号(T+13桁の数字)と似た英数字を、自分の「登録番号」として書いた書類
- 自分のものではない登録番号を、自分の「登録番号」として書いた書類
登録を申請中で番号の通知を待っているときは、番号は通知を受けてから書きます(申請中の扱いは税務署に確認してください)。
消費税の表示
問26-2では、免税事業者が請求書等に消費税相当額を書いても、適格請求書等と誤認されるおそれのあるものでなければ、基本的に罰則の対象にはならないとしています。また、仕入れのときに負担した消費税相当額を取引価格に上乗せして請求することは、適正な転嫁として問題ないとしています。
| 書き方 | 例(税抜100,000円の仕事) |
|---|---|
| 税込の金額だけを書く | ご請求金額 110,000円(10%対象 110,000円) |
| 本体と消費税相当額を分けて書く | 本体 100,000円/消費税相当額 10,000円/合計 110,000円 |
どちらの場合も、④の「税率ごとに合計した税込の金額」が読み取れるようにしておきます。いくらで請求するかは取引先との取り決めで決まるもので、この記事では扱いません。
領収書も出すなら、同じ書き方で領収書を作る領収書作成(インボイス対応)(無料・登録不要)→取引先の仕入税額控除と経過措置
問113では、適格請求書発行事業者以外の者(免税事業者など)からの仕入れは、仕入税額控除のために保存が必要な請求書等を受け取れないので、仕入税額控除ができないとしています。そのうえで、一定期間は、仕入税額相当額の一定割合を仕入税額とみなして控除できる経過措置があります。
| 期間 | 控除できる割合 |
|---|---|
| 2023年10月1日〜2026年9月30日 | 仕入税額相当額の80% |
| 2026年10月1日〜2028年9月30日 | 仕入税額相当額の70% |
| 2028年10月1日〜2030年9月30日 | 仕入税額相当額の50% |
| 2030年10月1日〜2031年9月30日 | 仕入税額相当額の30% |
2026年10月17日時点は、70%の期間です。割合と期間は2026年4月に改訂された問113の表によります。古い資料では割合や期間が違うことがあるので、最新の問113で確かめてください。
また、2026年10月1日以後に始まる課税期間では、一つの免税事業者等からの経過措置の対象となる仕入れが、その年(事業年度)で税込1億円を超えると、超えた部分には経過措置を使えません(2024年10月1日から2026年9月30日までに始まる課税期間は税込10億円)。
例:税抜100,000円・消費税相当額10,000円・合計110,000円を請求した場合、取引先は、消費税と地方消費税を合わせた目安で、適格請求書なら10,000円分を控除の計算に使えるのに対し、70%の期間は7,000円分になります(10,000×70%)。差の3,000円分は、取引先の負担が増えます。取引先は帳簿に、経過措置の対象である旨(問113の例では「80%控除対象」「免」など)を書いて管理します。
ツールで作る
インボイス対応 請求書作成は、登録番号の欄を空にしても請求書を作れます。その場合、チェック欄に「✗ 発行者名と登録番号」「要確認:登録番号が『T+13桁の数字』の形になっていません」と出ますが、免税事業者ならこのままで構いません。請求書の登録番号の行は「—」と表示されます。
明細の4つ目に税率(10か8)を入れると、8%の品目に「※」が付き、税率ごとの税込金額が表に出ます。これで③と④の事項がそろいます。
よくある間違い
- 申請中なのに番号らしきものを書く:登録番号は通知を受けてから書きます。
- 10%と8%を1本の合計で書く:取引先が経過措置を使うには、税率ごとの合計が必要です。
- 経過措置を80%のまま説明する:2026年10月1日からは70%です。
- 宛先を省く:⑤の取引先の名称も記載事項です。
まとめ
免税事業者の請求書は、登録番号を書かずに、作成者・取引日・内容(軽減税率の旨)・税率ごとの税込合計・宛先の5つをそろえます。T+13桁に似た番号や他人の番号は書きません。取引先の控除は2026年10月から70%の期間です。この記事は国税庁の資料をまとめたもので、税理士などの確認を受けたものではありません。登録するかどうかなどの判断は、税務署や税理士に相談してください。
出典:国税庁 インボイスQ&A 問26-2(免税事業者の交付する請求書等)、国税庁 インボイスQ&A 問113(免税事業者等からの仕入れに係る経過措置)、国税庁 インボイス制度に関するQ&A(目次)(いずれも2026年10月17日確認)。
宛先・登録番号・明細を入れると、10%と8%の税率ごとに合計と消費税額を分けた適格請求書(インボイス)を作れます。消費税は1枚につき税率ごとに1回だけ端数処理。印刷・PDF保存に対応。
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