請求書の発行管理表テンプレート(エクセル)の使い方
請求書を出したあと「どこにいくら請求したか」「どれが入金済みか」を1つの表で追えるよう、エクセルの管理表テンプレートを作りました。消費税は税率ごとに1回だけ端数を切り捨てる式が入っていて、入金予定日を過ぎた行は赤く表示されます。消費税の端数処理の決まりは国税庁のインボイスQ&Aで確認しました(2026年10月17日確認)。
公開:2026年10月17日 最終更新:2026年10月17日 執筆:板野 克基(株式会社ブライトアセット) 編集方針
要点
- 請求書の発行管理表のテンプレート(エクセル .xlsx)です。登録やメールアドレスの入力なしで保存できます。
- 入れるのは請求日・請求書番号・請求先・件名・税抜金額(10%対象・8%対象)・入金予定日・入金日だけ。消費税・合計・状態は式で自動計算します。
- 消費税は「1枚の請求書につき、税率ごとに1回」の端数処理です。テンプレートは1円未満を切り捨てます。国税庁のインボイスQ&A(問57)では、端数処理の方法は切り捨て・切り上げ・四捨五入から任意に選べるとされています。
- 入金予定日を過ぎても入金日が空の行は「期限超過」として赤く表示されます。「集計」シートで未入金の合計と月別の金額が見られます。
テンプレートのダウンロード
| シート | 中身 |
|---|---|
| 請求一覧 | 1行=請求書1枚。300行目まで式が入っています。黄色の2行は見本です |
| 集計 | 請求の合計・入金済み・未入金・期限超過の件数と金額、年を指定した月別の集計(税率別の税抜金額・消費税・合計・件数) |
| 使い方 | 入れ方、自動計算の中身、端数処理の変え方 |
Excel 2010以降で開けます。Googleスプレッドシートでも式はそのまま動きます。見本の取引先・金額は架空のものです。
各列の入れ方
| 列 | 入れるもの |
|---|---|
| 請求日 | 請求書の発行日(例:2026/10/15) |
| 請求書番号 | 請求書に書いた番号(文字列)(例:2026-0002) |
| 請求先・件名 | 取引先の名前と、何の請求か(例:合同会社見本フーズ/バナー制作・業務用コーヒー豆 10月分) |
| 税抜金額(10%対象) | 標準税率の品目の税抜合計(例:15,000) |
| 税抜金額(8%対象) | 軽減税率(飲食料品など)の品目の税抜合計。なければ空(例:7,000) |
| 消費税(10%)・(8%) | 自動。税抜金額×税率の1円未満を切り捨て(例:1,500/560) |
| 合計(税込) | 自動。税抜金額と消費税の合計(例:24,060) |
| 入金予定日・入金日 | 支払期限と、入金を確認した日(例:2026/11/30/(空)) |
| 状態 | 自動。入金日あり→入金済、予定日を過ぎて入金日なし→期限超過、それ以外→入金待ち(例:入金待ち。開いた日によって「期限超過」に変わります) |
消費税の式と端数処理
テンプレートの消費税の欄には、次の式が入っています(2行目の例)。
- 消費税(10%):
=IF(E2="","",ROUNDDOWN(E2*10/100,0)) - 消費税(8%):
=IF(F2="","",ROUNDDOWN(F2*8/100,0))
適格請求書(インボイス)に書く消費税額等に1円未満の端数が出るときは、1枚の請求書につき税率ごとに1回端数を処理します。品目ごとに消費税を計算して端数を処理し、その合計を消費税額として書くことは認められていません。端数処理の方法(切り上げ・切り捨て・四捨五入など)は任意です(国税庁 インボイスQ&A 問57)。
このテンプレートは1行を請求書1枚として扱い、税率ごとの税抜合計から1回だけ計算するので、この決まりに沿っています。たとえば10%対象12,345円なら消費税は1,234円(1,234.5円を切り捨て)、8%対象6,789円なら543円(543.12円を切り捨て)です。四捨五入にしたいときはG列・H列の ROUNDDOWN を ROUND に、切り上げなら ROUNDUP に変えてください。請求書に書いた消費税額と表の金額が一致しているかも確かめます。
税込の金額で請求書を作っている場合、消費税額の計算は税込合計×10/110(8%は8/108)になります(国税庁の問57の記載例)。このテンプレートは税抜で入れる形なので、税込で管理したいときは、品目の金額を先に税抜にそろえてから入れてください。
インボイスの記載事項との対応
この表は請求書そのものではなく、発行した請求書の控えを管理するための表です。適格請求書に書く事項は、国税庁のインボイスQ&A(問54)で次の6つとされています。
| 適格請求書の記載事項(国税庁) | この表の列 |
|---|---|
| ① 適格請求書発行事業者の氏名または名称、および登録番号 | なし(自社の情報なので請求書側に書きます) |
| ② 取引年月日 | なし(請求日とは別。期間の請求なら件名に「10月分」など) |
| ③ 取引の内容(軽減税率の対象品目ならその旨) | 件名 |
| ④ 税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜または税込)と適用税率 | 税抜金額(10%対象)・税抜金額(8%対象) |
| ⑤ 税率ごとに区分した消費税額等 | 消費税(10%)・消費税(8%) |
| ⑥ 書類の交付を受ける事業者(宛先)の氏名または名称 | 請求先 |
インボイス発行事業者は、交付したインボイスの写しを保存しておく必要があります(国税庁「インボイス制度について」)。この表は写しの代わりにはならないので、発行した請求書のPDFや控えも残してください。
品目の金額が税込なら、先に税抜にそろえる税込・税抜の一括計算(無料・登録不要)→請求書を作ってから表に記録する流れ
- 請求書作成ツールで、宛先・登録番号・明細(品名・数量・単価・税率)を入れて請求書をPDFにします。消費税は税率ごとに1回で計算されます。
- できた請求書の請求日・請求書番号・宛先・件名・税率ごとの税抜合計・お支払期限を、管理表の1行に写します。
- 消費税と合計が、請求書のPDFの金額と一致しているか確かめます。
- 入金を確認したら「入金日」を入れます。状態が「入金済」に変わり、文字が灰色になります。
よくあるつまずき
- 金額を税込で入れてしまう:税抜金額の列に税込の金額を入れると、消費税が二重になります。税込しか分からないときは、先に税抜に直してから入れます。
- 1つの請求書を品目ごとに複数行に分ける:行ごとに端数処理されるので、請求書1枚につき1回の決まりから外れます。1枚の請求書は1行にまとめます。
- 状態が「予定日なし」のまま:入金予定日が空です。支払期限を入れると「入金待ち」になります。
- 301行目より下で計算されない:式は300行目までです。最後の行をコピーして下の行に貼り付けると、式も一緒に増えます。集計シートの範囲($I$2:$I$301 など)も合わせて広げてください。
- 源泉徴収がある請求:フリーランスへの報酬など源泉徴収の対象になる請求では、入金額が合計(税込)より少なくなります。差し引く額は源泉徴収の計算ツールで確かめます。
税率が変わる予定について
令和8年9月15日の閣議決定で、令和9年4月1日から令和11年3月31日までの2年間、飲食料品の消費税率を1%(国・地方合計)に引き下げる改正案が示されています。国税庁のリーフレットでは、法案が国会で可決・成立した場合の内容とされています。このテンプレートの税率は10%と8%の2区分です。法律が成立して税率が変わるときは、列を足した版に差し替えます。
まとめ
請求書を出したら、管理表に1枚1行で請求日・請求先・税率ごとの税抜金額・入金予定日を入れておけば、消費税と合計、入金の状態、未入金の合計が自動で出ます。消費税は請求書1枚につき税率ごとに1回の端数処理にしてください。
出典:国税庁 インボイスQ&A 問57(適格請求書に記載する消費税額等の端数処理)、国税庁 インボイスQ&A 問54(適格請求書に記載が必要な事項)、国税庁 インボイス制度について、国税庁 飲食料品に係る2年間の消費税率引下げについて(リーフレット)(いずれも2026年10月17日確認)。
宛先・登録番号・明細を入れると、10%と8%の税率ごとに合計と消費税額を分けた適格請求書(インボイス)を作れます。消費税は1枚につき税率ごとに1回だけ端数処理。印刷・PDF保存に対応。
インボイス対応 請求書作成を使う(無料:作成・印刷・PDF)公開中のツール 41本・解説ガイド 33本。入力した数字はブラウザの中だけで計算し、サーバーには送りません。